司法書士試験はさまざまな国家資格の中でも、知識の有無の重要度が高い試験であるといわれています。
どんなに思考力があっても、問題を解くのに必要な法律に関する知識が頭に入っていなければ解答は不可能です。
残念ながら、人間の記憶力のピークは平均12歳と言われているので、司法書士試験に挑戦する方であばもれなく記憶力は低下傾向にあるといっていいでしょう(笑)。
そこで、ここでは記憶力を高めたり、知識の定着に役立つコツをお伝えしていきます。
忘却曲線をふまえて復習のタイミングを考える
人間の記憶に関わる法則として、「忘却曲線」という言葉は有名なので聞いたことがある方も多いかもしれません。
19世紀の実験心理学者エビングハウスが発見したもので、一度覚えただけの知識は最初の10時間で6割ほど忘れ、1週間で7割ほど忘れ、1カ月で9割以上を忘れるというものです。
また、逆に1カ月以上覚えていた知識については、その後ほとんど忘却しないことも分かっています。
なお、この実験においての「知識」とは理解を伴わないいわゆる「暗記」的な知識のことですが、いずれにせよ復習を伴わないインプットでは知識の定着は望めないことは明らかでしょう。
忘却曲線にしたがって復習のタイミングを考えるのであれば
- 最初の復習は翌朝くらいまでに
- 2回目の復習は1週間以内に
- 3回目の復習は1カ月経った頃に
となります。
これにより「短期記憶」が脳の海馬と呼ばれる場所から、大脳皮質に貯蔵され、「長期記憶」となって保存されることになります。
完全に上記のようなタイミングで、全てのインプットを復習することは難しいかもしれませんが、「翌朝」・「1週間」・「1カ月」のタイミングを頭に入れておけば、どうしても頭に入らない論点や、苦手な論点の知識を定着させたい場合には効率的に知識を定着させることができるでしょう。
どうしても暗記しなければいけない場合
基本的に知識を定着させるためには「なぜその法律が制定されたのか」、「なぜその判例はそのような結論になるのか」などの論理的思考力を使い、「理解して覚える」ことが最も効率的です。
とはいえ、部分的にはいわゆる暗記の力技を駆使せざるを得ないこともでてくるでしょう。
そのためのテクニックとしては以下のようなものがあります。
ありえないものと結びつけて覚える
いわゆる「記憶術」のひとつですが、まず、自分の身近な電車やバスの路線で絶対に順番を間違えない駅を覚えます。
普段、山手線を通勤で使ってるのであれば新宿→代々木→原宿→渋谷といった具合です。
これに、例えば共益の費用、雇用関係、葬式の費用、日曜品の供給の順で覚えなくてはならないとしたら、まず新宿駅の駅長を訴えているところを想像し(共益の費用)、代々木駅で雇用についての労働者のデモを見た、原宿駅で葬式をあげるなど、非日常的で印象に残るようなシーンのイメージと結びつけて記憶に残りやすくする方法です。
語呂あわせで覚える
古典的な手ではありますが、単純な知識については語呂合わせで覚えてしまうのもありです。
語呂合わせについてはさまざまな書籍も、出版されていますが、あまり深入りするとかえって非効率になるので、気分転換がてらに読む程度が良いでしょう。
また、どうしても覚えにくい事柄についてはピンポイントで自分で語呂合わせを作ってしまう方が有効です。
話して覚える
感情を伴った記憶が定着し易いのと同様に、肉体的な作業を伴った記憶もまた頭に残りやすいものです。
まずは、「書いて覚える」という作業を伴った記憶法が頭に浮かびますが、これは結構時間もかかり、そして疲れます(笑)。
おすすめは、「話して覚える」ことです。
暗記したい事柄を声に出して読みあげることで、眼で見る→口で話す→耳で聞く、という作業により脳の中でフィードバックが起こり記憶力を高める作用があります。
また、この自分で読み上げたものを録音しておき、スキマ時間の音声学習に取り入れれば、手間無く繰り返しの効果が得られ、さらに効率的に学習できるでしょう。
司法書士試験で効く記憶力を高めるコツ&暗記テクニックまとめ
司法書士の試験勉強はともすると単調になりがちです。
そして、単調さはモチベーションの最大の敵です。
そんな中で、知識を覚えるにしても、ただただ、テキストと過去問を繰り返すだけではなく、覚えるための戦略を考えることは、学習の効率をあげてくれるだけではなく、試験勉強そのものを楽しむ要素にもつながります。
ぜひ、この記事を参考に、少しでも試験勉強の単調さが紛れるような自分なり工夫をして、モチベーションにつなげてくださいね!