合格率から見る司法書士試験の難易度
司法書士試験の合格率は、直近10年では以下の通り受験者数に対する合格率で3~5%台となっており、この点ではかなりの狭き門といえるでしょう。
司法書士試験直近10年の合格率の推移
試験年度 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(対受験者数) | 合格点 | 満点 |
平成27年度 | 21754 | 17920 | 707 | 3.9% | 218.0点 | 280点 |
平成28年度 | 20360 | 16725 | 660 | 3.9% | 200.5点 | 280点 |
平成29年度 | 18831 | 15440 | 629 | 4.0% | 207.0点 | 280点 |
平成30年度 | 17668 | 14387 | 621 | 4.3% | 212.5点 | 280点 |
令和元年度 | 16811 | 13683 | 601 | 4.3% | 197.0点 | 280点 |
令和2年度 | 14431 | 11494 | 595 | 5.1% | 205.5点 | 280点 |
令和3年度 | 14988 | 11925 | 613 | 5.1% | 208.5点 | 280点 |
令和4年度 | 15693 | 12727 | 660 | 5.1% | 216.5点 | 280点 |
令和5年度 | 16133 | 13372 | 695 | 5.2% | 211.0点 | 280点 |
令和6年度 | 16837 | 13960 | 737 | 5.2% | 267.0点 | 350点 |
司法書士試験の特徴として、毎年の合格率があまり変動しないことがあげられますが、これは司法書士試験が一定の点数以上を取ったら合格できる絶対試験ではなく、毎年の合格者数を一定の人数に調整する相対試験だからです。
試験方式から見る司法書士試験の難易度
また、司法書士試験を難関としている理由のひとつが「基準点」と呼ばれる足切り点の存在です。
司法書士試験は午前の部(択一式)、午後の部(択一式)、午後の部(記述式)に分かれますが、それぞれに足切りラインが設定され、その基準点を全てクリアした上での総合点で合否が決まります。
各試験方式ごと基準点には、毎年変動し、おおむね午前の部(択一式)で8~9割、午後の部(択一式)で7~8割、午後の部(記述式)で6~7割となってます。
なお、3つの基準点全ての合計プラス18点程度が合格点となるため、全科目まんべんなく得点することと同時に、一定の科目での上乗せの得点も必要です。
この上乗せ分の得点をどの科目で狙うかによって学習の戦略も変わってくるわけです。
必要な学習時間から見る司法書士試験の難易度
一般的に司法書士試験の合格までに必要な学習時間は約3000時間といわれています。
この必要学習時間数は、他の国家資格試験と比較してもかなりの時間数であり、これだけの学習時間を確保する環境作りをしなくてはならないという意味でも難関の資格といえます。
主な国家資格の必要学習時間数
資格 | 勉強時間 |
旧司法試験 | 約10,000時間 |
司法書士 | 約3,000時間 |
公認会計士 | 約3,000時間 |
弁理士 | 約3,000時間 |
不動産鑑定士 | 約2,000時間 |
税理士 | 約2,000時間 |
土地家屋調査士 | 約1,500時間 |
中小企業診断士 | 約1,500時間 |
社会保険労務士 | 約1,000時間 |
行政書士 | 約700時間 |
マンション管理士 | 約600時間 |
宅地建物取引士 | 約300時間 |
なお、司法書士試験に一発合格する方は非常に少なく、多くの方が2年以上の学習期間を経て合格しているのが現状です。
また、法学部出身者などの場合でも初学者との差は数週間程度といわれており、ほとんどアドバンテージは無いといっていいでしょう。
おおむね合格に必要な知識の獲得に1年間かかり、その知識を試験で使えるレベルまで正確に身につける訓練に1年間はかかるといわれています。